今回のまとめとして、中小企業がメンタルヘルス対策を始める際の5つのステップをご紹介しましょう。
先に述べたように、経営者の当事者意識と担当者の熱意の両輪があって初めて、職場のメンタルヘルス対策がまわっていきます。まず、朝礼時やポスター掲示などで、経営者自ら従業員の健康に配慮した働きやすい職場づくりにきちんと取り組んでいくという方針を伝えましょう。
「心の健康づくり計画」を策定するのもよいでしょう。独立行政法人労働者健康安全機構では、職場の健康づくりを支援するために、様々な産業保健関係助成金を用意しています。まだ「心の健康づくり計画」を策定していないのであれば、「メンタルヘルス対策促進員」の助言・支援を受けて計画策定し、メンタルヘルス対策を実施すると、一律10万円の助成を受けられます。これを軍資金として始めることも一手でしょう。
このほか、従業員50人未満の事業場がストレスチェックを実施すると、従業員一人につき500円、医師による面接指導などの活動1回につき2万1500円(年3回まで)を上限に実費支給する「ストレスチェック助成金」、同じく産業医契約を結んで職場巡視などの活動を行うと、6カ月あたり10万円を上限に年2回まで実費を支給する「小規模事業場産業医活動助成金」などもあります。
▲ ページ上部へ
続いて、そのメンタルヘルス担当者が中心となって、社内に相談窓口をつくりましょう。中小企業の場合、保健師・看護師などによる専任の産業保健スタッフによる相談窓口を設けることは難しいかもしれません。その点では、人事労務担当者がメインの業務を持った上で、サブ業務として相談窓口を担うという形が、現実的です。
▲ ページ上部へ
実際に職場を巡回すると、従業員同士がしっかりとコミュニケーションが取れているかどうかや、挨拶ができているかなど、ちょっとしたことから職場の雰囲気や状況がよくわかります。また、夏場であれば冷房が効きすぎていないかなどの確認をきっかけに、社員に声がけすることもできるでしょう。「私がメンタルヘルスの担当者なので何かあったら相談を」という顔見せの意味もこめて、ぜひとも定期的に現場訪問してみてください。
▲ ページ上部へ
一部の従業員に対して、メンタルヘルスに関する深い内容の教育を行うよりも、従業員全員に最低限のメンタルヘルスの知識をつけてもらうことの方が重要です。その点で、まずは手軽さや費用があまりかからない方法を考える必要があります。わざわざ講師を呼んで1時間とか2時間みっちり講義を行う必要はありません。例えば、全体会議などで、こころの耳の「15分でわかるセルフケア」などのe-ラーニングを使って説明したり、「5分でできる職場のストレスセルフチェック」を受けることを勧めたりするのもよいでしょう。これらは無料ですので、いつでも気軽にトライしてみてください。
▲ ページ上部へ
従業員50人以上の事業場では衛生委員会の設置が義務づけられています。衛生委員会は、現場の状況を把握した上で、皆で話し合って対策を進めていく場という点で、とても意味があります。そこで、50人未満の中小企業でも、現場の状況がわかる人に入ってもらい、議長以外に企業側と労働者側が半分ずつ集まった上で、ミニ衛生委員会を開催しましょう。ストレスチェックの集団分析結果の検討や、勤怠に問題のある従業員への対応方法など、議題はなんでもよいのです。定期的に話し合う体制を作りましょう。
▲ ページ上部へ
小規模企業事業主向け
メンタルヘルスケア理解のためのアニメ
こころの健康度
チェックリスト
(職場用・家庭用)
中小企業向け心の健康問題を持つ従業員への対応手順マニュアル
週めくりセルフケアカレンダー(職場用・家庭用)
こころとからだを守るためのセルフチェック&アクションチェックシート
受診・相談時メモ用紙
▲ ページ上部へ