title

第4回 ストレス対処法と健康の保ち方

本文

第4回 ストレス対処法と健康の保ち方

 

尾久 裕紀(おぎゅう ひろき)
大妻女子大学 人間関係学部 教授
AMAROK JAPAN代表
企業の産業医も務める



今回はストレスのコントロール方法について述べます。

一番目は、ストレスそのものを回避する方法です。
仕事がストレスになっている場合、旅行に行くなど一時的に仕事から離れることです。
心身の疲労が軽減し、一定の効果があります。しかし仕事にもどると状況は変わりません。

二番目は、ストレスになっている根本原因を解決することです。

その際、そのストレス(悩み)が自分でコントロール可能かを判断します。慣れない業務、顧客とのトラブルなどの場合は、努力をする、適切な対処をすることでストレスを軽減します。必要によっては会社の体制を見直すよい機会になるかもしれません。

一方、業界全体の不振、国の方針など一人ではコントロールできない場合は、悩み続けることはやめ、気持を切り換えます。

三番目として、ストレスになりやすい考え方を変えることです。同じストレスがあってもずっと考え続ける、否定的に考える、まだ起こっていないことまで考える傾向がある人は本来10のストレスを自ら50あるいは100まで大きくしています。

四番目に、頼れる人、悩みを話せる人がいることです。経営者の方は悩みがあっても自分一人で解決しようとする傾向があると言われています。

経営のこと、人間関係のことなど悩みの内容に合わせて話せる人が複数いるとよいでしょう。人に話すことは、問題が解決しなくとも、気持が楽になります。

五番目に、最も重要なことですが、睡眠、食事、適度な運動を確保することです。睡眠が不足していると、それだけで考え方がネガティブになり不安、うつ傾向が強くなり、悩みが多く、深くなります。

睡眠をとるだけで、悩み自体がなくなるというのはよく経験することです。

最後に、いろいろ試みても心身の不調が続く場合、医療機関を受診することをお勧めします。
頭痛、めまい、動悸など身体症状が主な場合は、内科などの身体科で相談した方がよいでしょう。不安、うつなど精神的な症状の場合、心療内科、精神科となります。

【参照】インデックス

経営者の健康に役立つ研究コラム


私はAMAROK JAPAN代表として、中小企業経営者や個人事業主の健康・メンタルヘルスについての調査と分析、それを踏まえた日仏での比較を行い、その研究成果を発表してきました。
今回、あんしん財団の「こころの“あんしん”プロジェクト」のサイトに、「経営者の健康に役立つコラム」執筆の機会をいただきました。
今までの研究の成果も踏まえながら、中小企業経営者や従業員の皆さんに役立つような内容をさっと数分で読めるように簡潔にまとめて連載したいと思います。
お仕事の合間のちょっと手の空いたときにお読みいただいて、少しずつでも参考にしていただき、皆さんの身体と心の健康づくりに役立てていただければ幸いです。

尾久 裕紀(おぎゅう ひろき)
大妻女子大学 人間関係学部 教授
AMAROK JAPAN 代表
企業の産業医も務める