第3回 ストレスと健康
尾久 裕紀(おぎゅう ひろき)
大妻女子大学 人間関係学部 教授
AMAROK JAPAN代表
企業の産業医も務める
ストレスは、悪いものと考えがちですが、本来は外からの刺激(ストレッサー)に対して生じる人間の反応のことを言います。
人間、何の刺激もなければやる気もおきません。適度な刺激があることで生活にメリハリがつきます。
ストレスが心身にどのような影響があるか見ていきましょう。主に自律神経系(交感神経と副交感神経)と内分泌系に影響します。
適度なストレスによって心身の状態が活動的になりますが、過剰なストレスがかかると血圧が上がり、血液が固まりやすくなり、血糖が上がり、免疫が低下します。その結果、脳卒中、心筋梗塞、感染症、がんなどの病気にかかりやすくなるのです。
通常はストレスがかかっていきなり病気になることは少なく、ストレス反応として表れます。
ストレス反応は、心、体、行動に表れます。イライラする、落ち込むなどの心理的反応、動悸、下痢、頭痛などの身体的反応、出社困難、過食、アルコール量が増えるなどの行動的反応です。
したがってストレス反応が表れたときに、対応するとよいのですが、50%の人は気づかないと言われています。
日頃より、自分のストレス反応(同じ反応が起きることが多いです)を知ること、また仕事・生活上の出来事からストレスを予測することが重要です。
後者については、仕事上トラブルがあった、長時間労働になった、家族内でトラブルを抱えている、などの出来事がある場合、「自分は相当のストレスがかかっている」と予測し、対処する必要があります。
部下がいる方は、部下のストレス状況を管理する義務がありますが、先に述べたストレス反応の表れ方は個人差が大きいことをご理解ください。たとえば、100のストレスでストレス反応が出る人、10くらいのストレスでもストレス反応が出る人、さまざまです。
経営者はどちらかというと、ストレス耐性が高い人が多いので、くれぐれもご自分の経験をもとにお考えにならないようお願いします。