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第2回 新入社員をテレワークのストレスから守る

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第2回 新入社員をテレワークのストレスから守る



【執筆者:森口 次郎(もりぐち じろう)先生】

プロフィール
一般財団法人京都工場保健会 診療所副所長・産業保健推進本部医療部長 産業医学研究所所長 医学博士

1. 新入社員のストレスはテレワークで高まる?上司や先輩による支援の強化を!

 新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)をきっかけに多くの企業で導入されたテレワークは、働く人たちの環境に大きな変化をもたらしました。また、新しい世界に入ってくる新入社員が、ストレスを感じることは容易に想像できますが、慣れないことばかりなのに、上司や先輩に気軽に質問や相談がしにくいテレワーク環境に置かれ、さらにストレスが大きくなるかもしれません。
 産業医として新入社員と面談してきた経験を振り返ると、テレワークを導入した2020年度は、「上司から十分な助言や指導が得られない」と悩んでいる人が散見されました。2021年度はオンラインの朝礼や1対1の遠隔面談などを定例化することで上司との意思疎通は向上しているものの、身近であるはずの先輩に相談しづらいことが悩みになっているようです。確かに、出勤して隣にいる先輩に気軽に問いかけることとは敷居の高さが違うかもしれません。この解決に、他部署の先輩を気軽な相談相手とする メンター制度を利用している会社もあります。

 テレワーク環境での意思疎通がチャットやメールに偏っている部署を見かけますが、冷たい印象になるなど欠点もありますので、テレビ会議などの顔が見える形式も積極的に利用してください。

2.公的資源や無料のツールの活用を

 筆者らの調査で、中小企業は新型コロナの情報収集に重要性を感じて力を注いでいるものの、正しい情報か否かの判断に苦労しているとの結果を得ています。今回のテーマであるテレワークのストレスをはじめとする情報収集には各都道府県の産業保健総合支援センターが頼りになります。窓口、電話、電子メールなどによる相談対応とメールマガジンなどによる情報発信も行っていますので、ぜひ利用してください。そのほかにも新型コロナやテレワークに関わる健康管理について参考情報が得られるウェブサイトがありますので紹介します。参考になれば幸いです。


①産業保健総合支援センター(さんぽセンター)
https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/default.aspx
②コロナ禍でのラインケア、セルフケア動画(本稿で紹介できなかった働く人自身によるセルフケアについても10分
程度で説明されています)
https://plaza.umin.ac.jp/heart/e-coco-j/movie.shtml
③いまここケア(最近、注目のマインドフルネスなどが説明されています)
https://imacococare.net/
④こころの耳(働く人の相談窓口が、電話、メール、SNSの三パターンで用意されています)
https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/
⑤こころコンディショナー(AIチャットボットによるチャット相談ができます)
https://www.cocoro-conditioner.jp/
【参照:インデックス】