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産業医が伝える,きょうから実践!セルフケア

3月,コミュニケーションのコツ

「NO」と言えずに悩んでいませんか?
 職場におけるストレス要因は様々ですが、「人間関係」の問題は大きな要因の一つです。人間関係がストレスになる一因として、個人のコミュニケーション能力の問題があげられます。例えば、自分の仕事で手一杯になっているときに上司から仕事や雑用を頼まれ、うまく断れずに引き受けてしまった。その結果、仕事もストレスもどんどんたまっていく…。そんな経験をしたことがある方は少なくないと思います。では、こんなときどのようにすれば、自分も相手も大切にしながら、自分の考えを適切に伝えられるようになるのでしょうか。
自己表現には3つのタイプがある
 断り方のスキルとしては、「アサーション」が参考になります。アサーションとは、「自分と相手を大切にする表現技法」を意味します。このアサーションの考え方では、「NO」と言えない人は、自分よりも他者を常に優先して考える「非主張的」な自己表現をしています。これを、自分を優先しつつ他者への配慮を忘れない「アサーティブ」な自己表現へ変えていくと良いでしょう。

①攻撃的…他者のことを配慮せず、自分のことだけを主張するタイプ。表現の仕方が攻撃的で周囲を不快にしてしまう可能性が高い。
②非主張的…自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにするタイプ。自分の気持ちや考えを表現できずに、ストレスや負担を溜め込みやすい。
③アサーティブ…自分のことをまず考えるが、他者への配慮もするタイプ。気持ちを正直にその場にふさわしい方法で伝えることで、円滑なコミュニケーションにつながる。
アサーティブな自己表現のコツ
アサーティブな自己表現をするには、会話に以下の4つの要素を取り入れてみましょう。


相手との共通認識を持てるように客観的な事実を伝える。
(例)今月末が締め切りの案件を抱えていて、残業が続いている状況です。

s 自分の気持をしっかりと伝える。
(例)今抱えている案件が終わるまでは、新たな業務は引き受けられそうにありません。

なるべく具体的に提案や主張を伝える。遠慮がちな曖昧な表現は誤解に繋がる。
(例)もしも来月以降で宜しければ、お引き受けすることができます。

相手の状況に応じていくつか代替案を用意する。
自分が譲歩できる範囲を明確にしておく。
(例)もしくは、原案だけであれば今月中に作成できそうですので、来月以降に改めて詳細な部分についてご相談させていただけませんか?
まとめ
このように、自分の気持ちを適切に伝えることで、時には、意見の衝突が生じることもあります。しかし、お互いに譲り合いながら話し合い、双方が納得する結論に至ることが増えてくれば、人間関係の問題によるストレスも軽減していくと考えられます。
参考文献
「労働者個人向けストレス対策(セルフケア)のマニュアル 実践編」 平成23年度厚生労働科学研究費補助金「労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法に関する 調査研究」 (主任研究者:川上憲人)
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